乳房を示されて子を放した幽霊
どんな伝承か
伊達郡に伝わる子育て幽霊の例話は、別伝との複合転用によって筋が屈折しているという。幽霊がどうしても子を放さなかったのを、この世の乳の出る女の乳房を示し、これで育てるから安心せよと言い聞かせたところ、母の死骸の手がゆるんで子を離したと伝える。怨念が退散したのだと説かれる。また、飴を買いに来るとき、赤児を抱いて泣かせながら来たのを人が見たとも伝えている。これは『今昔物語』二七の産女、すなわち子を産んで死んだ女が霊となり、児を哭かせて「これ抱け」と言うという怪異との連関を明らかに示している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(福井縣鄕土誌・昭和初期(1920年代~1930年代推定))