信太の森の狐女房葛の葉
どんな伝承か
ある土地の家老に保名という人がいて、魚釣りが好きで毎日のように出かけていた。そのころ信太の森には狐がいて田畑を荒らすので、村人たちは何とか殺そうと相談していた。ある日、釣りをしていた保名は狐の鳴き声を聞いて森へ行き、狐が殺されそうになっているのを見て哀れに思った。保名は狐たちを安全な所へ連れて行き、もう田畑を荒らすなと言い聞かせた。数日後、保名は病に倒れたが、妻の葛の葉は実家に帰っていて不自由していた。そこへ狐が葛の葉に化けて来て看病した。病が治ったころ本当の妻が戻ると、狐は正体を明かし、恋しければ信太の森を訪ねよという歌を残して泣きながら森へ帰っていったという。
原典より
そこへ狐が葛の葉に化けて来、看病をしました。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。