赤い涙を流して泣いた教室の窓辺の木
どんな伝承か
回答者が東京に居た頃、今から四、五年前のこと。毎年帰沖して民話や民俗を採集していた折、甥や姪が、学校で評判の不思議な話があると教えてくれた。何年生かの教室の窓の側の木が、赤い血を流して泣いているとみなが言うので、先生と一緒に見に行ったのだという。子供たちは、それは本当だった、先生も「本当だね、赤い血を流して伐らないでくれーって泣いているね」と言った、木の涙は血の色をしていたと口々に語った。やがてこの木を伐ることになっているとか、誰かが傷を付けたのだとも言っていたという。迷信だと叱る先生もいたが、その先生は信じてくれたと子供たちは話した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。