勘当された日頂が泣いた銀杏
どんな伝承か
法華経寺の五重塔の傍らに立ち、泣銀杏と呼ばれる。寺の伝えでは、六老僧の一人である伊予阿闍梨日頂上人が弘安七年に鎌倉で他宗の僧と十三日にわたって法論を交わし、十月十三日の命日に上人の三回忌へ間に合わなかった。そのため父の勘当を受け、父が没するまで許されなかったという。この銀杏は父の邸の近くにあった木で、日頂が泣きながらそのまわりを廻り経を持したと伝える。静岡県駿東郡浮島村井出の大泉寺の大銀杏では中で木魚を叩く音がしたといい、石川県能美郡尾口村の瀬戸神社の銀杏には天狗が棲んで夜に大きな鳴動を起こすという。
原典より
法華經寺の五重塔の傍にあり、泣銀杏といつてゐる。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。