火の玉になって消えた真赤な木の精
どんな伝承か
キジムナーというのは木のシー、すなわち木の精である。話者自身はまだ見たことがないが、奥武に橋が架けられたあたりで見たという人がいた。体を全部真赤にしたものが、どこからともなくすうっと歩いてきたのだという。話者の祖父は九十歳で亡くなった人だが、その祖父よりも背の高い者になって現れたのが木の精だと語られた。もっと高くなれと言うと三度にわたって伸び上がり、やがて夜に見える火の玉のような赤い光になって、高くなりすぎたためかそのまま消えてしまったらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。