大火で焼けたチチノキと胎内杉
どんな伝承か
山辺町築沢に子宝明神がある。大同二年に火の玉が下り、その場所で必ず落馬するので探させたところ如意輪観音の黄金仏が見つかり、これを祀ったのが由来だという。社殿の背後の大杉は幹の途中にコブが垂れ、その皮を剥いで煎じて飲むと母乳の出がよくなると信じられ、しめ縄を張った神木で「チチノキ」と呼ばれた。昭和六二年五月五日の作谷沢大火でしめ縄に火がつき、空洞の幹が煙突のように火の粉を噴いて燃え、鎮火できずに伐り倒された。切株には胎内に宿った子のような杉が現れ、いまは「胎内杉」として祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。