船にとぐろを巻いた蛇と大漁
どんな伝承か
投網で沖をやっていたら、蛇が上総のほうから渡ってきたという。漁師は蛇とか猿とかを絶対に口にしてはいけない。それをやれば必ず漁がなく、遭難する場合もある。だから蛇は「ながもん」、猿は「えて」と名前を変えて呼ぶ。芝えびぶちで波の立っているところ、一尺五寸ほどの蛇が出てきて、船の「とだて」の側へ入り込み、そこにとぐろを巻いた。船を洗うたわしの柄で遠くへ放ったが、しばらくするとまた同じところへ来る。二、三度でやめ、何時間も漁をする間、蛇はおとなしくそこにいた。陸へ近づいて百間の入の近くまで来ると、蛇は陸へ降りていった。それからその船は大漁だったので、あれは弁天様で恩返しをしたのだろうといわれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)