命と引き換えに村を救った琵琶弾き
どんな伝承か
昔、目は見えないが琵琶の名手である人が池のほとりで琵琶を弾いていると、誰かが聴いている気配がした。声をかけると池の竜神だと名乗り、村人が池の水を汲み尽くして困るので洪水で懲らしめに出てきたが、琵琶に聴きほれていたと言う。竜神は、これから洪水を起こすが村に知らせれば命はないと脅した。琵琶弾きは恐れつつも、自分ひとりの命で大勢が助かるならと村人に知らせ、皆は備えて大騒ぎになった。その夜、琵琶弾きは泊まった家から姿を消し、池には琵琶がひとつ浮いていた。村人は命を捨てて救ってくれたと感謝し、以来その池を琵琶池と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。