竜の掛け軸で雨を呼ぶ雨降り婆さん
どんな伝承か
いつの頃か、用沢に雨降り婆さんと呼ばれる老婆がいた。日照りが続くと、家に伝わる竜の掛け軸を背負い念仏鐘を持って出かけ、川のほとりに座を設けて軸を掛け、集まった人々と念仏を唱えた。すると決まって雨が降ったという。あるとき軸が濡れるのもかまわず念仏に没頭していると、軸の竜が消えていた。驚いて軸を巻いて家に帰ると、竜は再びくっきりと軸に浮かんでいたという。婆さんは各地から頼まれて雨乞いに出歩いた。今用沢にある竜神さんは、この軸を御神体とし、雨乞いの守り神になっているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小山町史 第9巻 (民俗編)(小山町史)
『小山町史 第9巻(民俗編)』は、静岡県駿東郡小山町の町史の民俗編から、口頭伝承の章の伝説の節を抜き出したものである。石子詰にされた忍びの若者・用沢小僧の伝えを出典ごとに並べ、むらの名の由来、金太郎ゆかりの地と石、仇討如来や鬼鹿毛馬頭観音、村境の決め方、竹之下合戦にまつわる伝えなどを収める。富士山麓と足柄山のあいだの町に残る、地名と社寺・石に結びついた言い伝えが中心である。