約束を破って石になった種山の老婆
どんな伝承か
坂上田村麻呂が蝦夷を攻めたとき、達谷窟の悪路王は討たれ、その子の首丸は残兵とともに岩谷堂にこもったのち、追われて種山を逃げ回った。首丸は種山に住む老婆を捕らえ、都の兵に聞かれたら逆の方角を教えろ、約束を破れば石にすると脅して大森山の方へ去った。まもなく来た兵たちに穏やかに尋ねられると、老婆は脅しを忘れて本当の方角を教え、大森山では激しい戦になった。数日後、薪を取りに種山の高みへ行った老婆は急に体が動かなくなり、そのまま石と化したという。それで辺りは姥石と呼ばれ、石の祠の姥石神社には人の姿に似た五〇センチほどの石が御神体として納まっていると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。