貞任が財宝を埋めた黒森平
どんな伝承か
下有住の北西にそびえる貞任山は、男火山・女火山と並んで三つの高峰をなす。衣川館で敗れた安倍貞任がここへ逃れて柵を築いたので、この名が付いたと伝わる。山々の水を集めた横川を一キロほど下った黒森平の辺りに、貞任はひそかに財宝を埋めたといい、朝日と夕日の照らす下に漆と黄金を埋めたと歌う歌が土地に残る。目印に植えた水仙は一面に広がって、もう場所は分からない。その水仙は葉も花も小さく鮮やかな黄色で、年に二、三度咲くとされた。夜に放した牛馬の足に漆がべったり付いていたこともあり、これも貞任が埋めた漆の一部だろうと人々は語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
住田町史 第6巻 (民俗編)(住田町史)
『住田町史 第6巻(民俗編)』は、岩手県気仙郡住田町の町史の民俗編から、伝説の節を抜き出したものである。地名・石や岩や水・長者や旧家・社寺や祠堂の四つに分けて、山姥のような老婆と和尚の大股・小股、石にされた姥、河童の頼んだ手紙、櫃割長者の大蛇、座敷わらしなどの言い伝えを収める。世田米・上有住・下有住の集落や山に結びついた話が中心である。