七月七日に浮かぶ四つの馬の鞍
どんな伝承か
宮城の北方、栗原郡栗駒の沼倉から山へ進むと、周囲一里ほどの鞍掛沼がある。南方一里ほどには沼倉飛騨守の沼倉城跡が残る。坂上田村麻呂が奥羽を鎮定した折、沼倉城は十日余りで落ち、飛騨守は家来三人を供に秋田へ逃れた。谷地に出たあたりで馬の脚が泥に取られ、追手が迫ったので馬を棄てて逃げた。この沢が連日の雨で沼となった。陰暦七月七日になると馬の鞍が四つ水面に浮かび、これを見た者は水底に引き込まれるという。城跡の滝の下には飛騨守が埋めた黄金があると俗謡に唄われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。