天狗に腕を貸した妙笑寺の和尚
どんな伝承か
津野の妙笑寺に、徳が高く字の巧みな天英という和尚がいた。ある夜、斑尾山の天狗が訪ねて来て、戸隠・妙高・黒姫・飯綱の天狗仲間が七日七夜にわたって書を競うが、自分は字に自信がないので和尚の腕を貸してほしいと頼んだ。和尚がしかたなく承知すると、その日から七日七夜、腕はしびれきって動かなかった。八日目の朝、腕がすっと元どおりになったところへ天狗が現れ、おかげで勝てたので、礼として寺を火事から守ると告げた。それからこの寺には火事が起きないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。