河童が膳椀を貸した甲田池
どんな伝承か
昔、十人村の男が甲田池のそばに飼い馬をつないでおくと、河童が出てきて馬を池へ引き込もうとした。驚いた馬は暴れて馬屋へ逃げ帰り、引きずられた河童は途中で頭の水をこぼして力が抜け、馬屋の隅でじっとしていた。男が来ると河童は頭をぺこぺこ下げ、もてなしの時には要るだけ膳椀をそろえるから許してくれと詫びた。以来、振る舞いのたびに河童は前の晩に膳椀を届け、使い終わると持ち帰った。ところが近所の者が一膳だけ隠しておいたところ、それきり河童は貸してくれなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。