タジカラオの大いびきと戸枕夕立
どんな伝承か
美ヶ原の山並みに、三角にとがった戸枕山という山がある。昔、天の国の光り輝く女神が大きな岩穴に籠もり、世の中が真っ暗になった。神々の相談で力自慢のタジカラオノミコトが岩戸を取りのけると、世は明るさを取り戻した。ミコトはその岩戸を背負って下界へ運んだが、重さに疲れて美ヶ原の辺りで下ろし、岩戸を枕に昼寝を始めた。そのいびきは雷のように谷々に響き、村人はこの山を戸枕山と呼ぶようになった。今も戸枕山からいびきが聞こえると黒い入道雲が村を覆い、滝のような夕立が来る。これを戸枕夕立といい、ミコトが目覚めるまで雨はやまないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。