国分寺恋しやと鳴って沈んだ鐘
どんな伝承か
昔、怪力の泥棒が国分寺の梵鐘を盗み、千曲川を渡って古牧山に登り、須川湖のほとりまで来て一休みした。すると鐘がひとりでに転がり出し、「国分寺恋しや、ボボラボーン」と鳴りながら湖の底深く沈んでしまった。泥棒は肝をつぶして逃げ去ったという。以来、日照りで辺りの池や川が干上がっても須川湖だけは底まで涸れず、沈んだ鐘の竜頭が見えるほど水が減ると竜が雲を呼んで雨を降らせるという。湖で溺れかけても国分寺の者だと叫べば必ず助かるといい、須川の人々は湖に茂る菱の実を「かねつき」と呼んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。