曲淵に沈む蝦夷の宝と田名部川
どんな伝承か
田名部川については、いくつかの言い伝えが残る。上流の東通村目名の集落に近い所には曲淵という深い淵があり、昔田名部に住んでいた蝦夷が土地を去るとき、宝物を土瓶に詰めてこの淵に沈めたという。だが沈めた場所を確かに知る者はいない。下流はかつて古川筋を通って万人堂の下へ出ていたが、曲がりくねって氾濫を繰り返したため、二百年ほど前に掘割で流れをまっすぐにしたと伝わる。また支流の小川の上流の蛇走という所がふさがれ、たまった水が一度に破れて山津波となり、城内や小川町に多くの溺死者を出したともいわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。