白旗と見誤った長者原の萱
どんな伝承か
長者原の長者が戦に出たときの話である。抜井の菅刈場まで兵を進めると、行く手から白い旗指物を掲げた大軍がどっと押し寄せてくるように見えた。驚いた長者は浮き足立つ兵をどうにかまとめて長者原へ逃げ戻り、慌てて守りを固めた。だが、迫っているはずの敵は一向に攻めてこない。物見を出して探らせると、白旗と見えたのは白い穂のそろった萱で、軍勢の足音と思ったのは萱原を渡る風の音だった。腹を立てた長者が萱に二度と穂を出すなと命じて以来、この原の萱は穂を出さないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
望月町誌 第2巻 (民俗編)(望月町誌)
『望月町誌 第2巻(民俗編)』の伝説の節を抜き出したものである。旧望月町(いまの佐久市)の集落ごとに、植物・石・清水と池・岩穴と塚・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・稲荷・動物・巨人・化け物・禁忌・カッパ・地名の伝えを並べる。望月の駒と生駒姫、梅円坊の化け物退治、彦狭島王の王塚、長者原の長者、ゴマを作らない村々の言い伝えなどが見える。