栃沢の宮から家まで送る山犬
どんな伝承か
舟場のある人が用事で遅くなって帰る途中、栃沢の宮の森の外れに山犬が一匹いた。恐る恐るその前を通り過ぎると、山犬は後ろからついてくる。振り返らずに家までたどり着くと、山犬はうれしげに尾を振ってどこかへ去った。これは送り犬といって人を守る山犬だが、途中で転ぶと食われてしまうという。そのころは山犬が多く、新しい墓を掘られて困ったので、墓の上に竹の棒三本を三角に組んで縄を罠のように垂らす犬除けをし、葬式の翌朝には荒らされていないかを確かめる見届けの墓参りをしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
八坂村誌 民俗編・民俗編資料
『八坂村誌 民俗編・民俗編資料』の口頭伝承の節から、伝説と昔話を抜き出したものである。長野県大町市八坂(旧北安曇郡八坂村)の大姥山と鷹狩山の山姥・金時の伝え、池の主と大蛇、城跡と長者屋敷、狐・狸・むじな・山犬・天狗・河童の話、社寺の由来、雨乞いの伝えなどを、集落ごとの聞き書きで収める。犀川の谷あいの山村に残る、山と獣と水にまつわる話が中心である。