松の大枝の火で退いた送り犬
どんな伝承か
明治二、三年のころ、商用で上諏訪へ出かけた瀬戸庄一郎は、帰り道の立沢で、あとから急いで来た井出清助と行き会い、道連れになった。小深沢まで来ると、闇の中から目を光らせた例の送り犬が現れ、二人のあとを送ってきた。二人はすぐに沓切鎌で石を打って火を起こし、あらかじめ用意しておいた松の大枝を燃やしはじめた。すると犬は、どこへともなく姿を消してしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。