沈まなかった壊れた椀
どんな伝承か
祝い事や弔いで大勢の人が集まるとき、膳や椀が足りないと客に食事も出せない。そんなときは川の淵へ行き、膳と椀を何人分貸してくれと頼むと、その数だけずらりと出してくれたという。ところがある時、借りた椀を一つ壊してしまい、黙ってほかの品と一緒に返した。無事な品は水の中へ巻き込まれて沈んだが、壊れた椀の膳だけは渦の中をぐるぐる回り続けて、少しも沈まなかった。断りもなく壊れたまま返したので、足りないとして受け取ってもらえなかったのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第5巻 総説 1 (概説)
『長野県史 民俗編 第5巻 総説1(概説)』のことばと伝承の章から、伝説の節を抜き出したものである。長野県全体の伝説を、デーラボッチャ・小泉小太郎・甲賀三郎・黒姫・八面大王・鬼女紅葉・ものぐさ太郎・弘法大師・白米城・早太郎・猫檀家・かっぱ・逆さ木・池の主・人柱・首塚などの題ごとにまとめ、本話のあとに県内各地の類話を地名つきで並べる。県史の地域編と重なる話も多い。