壺塚の松林に飛ぶ四つの火の玉
どんな伝承か
鹿児島県川内市から串木野へ向かう国道沿い、勝目町の田の中に高さ三メートル、百坪ほどの小さな台地があり、壺塚と呼ばれる。享保のころ、ここにあった寺の僧が土地の女との間に二人の子をもうけ、女犯の罪で享保十年五月に親子ともども火あぶりの刑に処された。両親は幼い子を炎からかばい続け、抱き合ったまま焼け死んだという。以来毎年五月になると付近の松林に四つの火の玉が飛んで祟り、地区の家々が供養を続けてきた。戦後も現れていたが、松林が虫にやられて伐られてからは出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。