糸車を回すぶんぶん岩の娘の霊
どんな伝承か
島根県の須川にあるぶんぶん岩は、今では道路工事で気味悪さも消えたが、昔は夜ここを通ると、去年も十九、今年も十九と歌いながら糸車を回す音が聞こえたので、その名がついた。十九歳の娘が糸紡ぎの帰りにひどい目に遭わされて殺されたためという。須川八幡の神職を務める木島家には、祖父が祭りの帰りの夜更けにここで糸車を担いだ若い女に出会った話が伝わる。女は昔ここで殺されて迷っていると明かしたので、成仏せよと諭すと飛びかかろうとしたため、笏で打つと消えた。祖父が女のために祭をしてやると、以後は出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。