天下の異変に濁る英彦山玉屋の神泉
どんな伝承か
英彦山には十の谷と四十九の窟があり、その第一の窟を玉屋といって、彦山大権現が現れた霊地とされている。本朝年代紀によれば、崇神天皇のころ、この窟の中から八角の水晶の石が現れ、神聖な泉が湧き出した。泉の水かさは日照りでも大水でも変わらないという。また、ここの池の水は天下に異変があると濁るといい、弘仁十年には法蓮上人が玉屋で宝珠を授かったとも伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))
『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。