腰掛けると死ぬ人トリ石
どんな伝承か
筑後の高良神社の北参道に当たる山川村の路傍に、人トリ石と称する石がある。恰も殺生石に似た石で、ここに腰をかけて休憩すると病に罹って死ぬと言われているものである。神聖視によるものか、あるいはタブーに類した観念の残っているものか、その死ぬという理由は明瞭でない。なお豊後玖珠郡田野にある殺生石はこれとは類を異にし、まったく火山作用によるもので人には害を与えないが、鳥類や虫類などは噴気に触れて死ぬと『太宰管内志』に見えている。
原典より
こ、に腰をかけて休憩するこ病に罹って死ぬこ言はれるもので神聖視か或はタブーに類した觀念の殘つて居るものか否かその死ぬこいふ理由は明瞭でない。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))
『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。