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父の一喝で消えた金縛りの怪

所在地東京都新宿区
出典奇譚草子

どんな伝承か

筆者の大学時代の仲間であるエミちゃんが、ホテルの喫茶室で打ち明けた話。人が死ぬときは前もって分かるのだという。夜、自室で眠っていると廊下をきしませて歩く音が近づき、戸を開けないまま部屋に入ってくる。姿は見えないが誰かは分かり、その人が枕元に座る気配までする。ほどなく、あるいは翌朝に訃報が届く。小学生のとき、入院していた父が亡くなった折もそうで、父が来たと家の者に告げた当日に急死の知らせが来た。高校時代には、金縛りのなかで人ならぬものが集まり、耳元で笑い、布団に乗り、周囲を走り回ったことがある。そのとき足音がして大声が響き、騒いでいたものが一斉に消えた。生前よく自分を叱った父の声だったという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇譚草子(夢枕獏)

『奇譚草子』は、夢枕獏が著した怪異譚集である。ここに収めるのは表題の部にあたる「〜の話」と題した短い話二十篇で、友人や知人が自分や身近な人の体験として語った生霊の手、階下で蹴ったばかりなのに二階に座っていた祖母、トンネルや雪山の死体、夜ごと来る小人などの話を、著者が聞き手として書き留める。各話は一つの出来事を短く語る小品で、末尾は箱根に住んだ元関取に憑いてスサノオと名告る存在の話で結ばれる。

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