井戸で水を汲んでいた教え子
どんな伝承か
青森市の金浜小学校の生徒が、幽霊になって先生に会いに来たという話である。昭和二十九年の秋、二年生を受け持っていた女教師の阿保先生は、まだ独身で母のきわと教員住宅に暮らしていた。夜も大分更けたので電気を消すと、外にある井戸の水を汲む音が聞こえてきた。今ごろ誰が汲んでいるのかと不思議に思い、母と二人で窓ガラスに顔をくっつけるようにして見ると、受け持ちのA子が一所懸命に水を汲んでいる。A子は自家中毒と診断されてその日は学校を休んだはずであった。翌朝、A子が前夜に亡くなったと知らされ、死亡の時刻は水を汲んでいた時刻とぴたりと一致していた。死ぬ間際、水が飲みたいと叫んでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生の話や霊魂論に始まり、青森県内で撮られた心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、天狗・寝太り・鎌鼬などに出会った話、幽霊の存在説と否定説・分類・人相学、人魂までを扱う。問答の形でお化けを語る節や観察と記録の手引きを交え、巻末に五十音順の心霊用語集を付す。