鴛鴦に黄金を投げた真野の長者
どんな伝承か
臼杵の深田に残る紫雲山満月寺の跡は、真野の長者が敏達天皇の世に百済の僧蓮城を迎えて建てたと伝わり、いまは山腹の岩壁に彫られた仏像や石像が残る。長者の小五郎は、もとは炭焼きで暮らしを立てる貧しい若者だった。そこへ清水観音の夢告を受けた京の美女が訪れて妻となり、持参の黄金で食べ物を買ってくるよう頼んだ。小五郎は途中の池で鴛鴦に黄金を投げつけて失くしたが、炭焼きの山の谷川には同じ黄金がいくらでもあると言い、それを拾い集めて長者になったという。
原典より
満月寺は敏達天皇の世、真野の長者が、百済の蓮城という高僧を招き建立したという。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。