古屋敷の石燈籠にともる火
どんな伝承か
上之山藩松平家の侍田村誠一郎が江戸詰から国許に移り、新屋敷ができるまで古屋敷に住むことになった。中間や下女が三日がかりで掃除をした。ある夕、一家が座敷に集まって夕食の箸を執っていると、庭が急に明るくなった。見れば庭の石燈籠に灯がともっている。誰が灯を入れたのかと誠一郎が問うても、庭に下りている者はいないと妻女が答える。すると老いた中間が、あれは古籠火でございましょう、古燈籠はしばらく灯を入れてもらえないと独りでともるのですと言った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。