古箕と古傘と古太鼓の化物
どんな伝承か
脇野沢に伝わる昔話。ある部落の沼の中に大きな家があったが、化物が出るといって誰も住めなかった。泊まる所のない男がその家の戸棚に入って休んでいると、夜になって庭からは箕をかぶった者、奥からは太鼓を叩く者、二階からは傘を持った者が下りてきて、「古箕に古傘、古太鼓」と唱えて踊り出した。面白くなった男も戸棚のぶつかり銚子を持って加わる。夜明けに互いに正体を明かして別れたので、男は翌朝それらの毀れた道具を探し出し、薪を積んで焼き払った。男はその家をもらって暮らすようになったという。話者は新岡シナ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。