痛いと言った正法寺の文福茶釜
どんな伝承か
正法寺に文福茶釜がある。ある馬喰が献上したものだという。あるとき小僧がこれを小川のほとりに持ち出して砂で磨いていると、「小僧痛いぞ」と言った。小僧が驚いて和尚に告げると、それは面白い、湯を沸かしてみろと言われ、小僧が炉にかけて火を焚くと、「小僧熱いぞ、小僧熱いぞ」と言いながら座敷中を転げ回った。それからこの釜は庫裏に置かれたが、夜になると転げ回り、あるいは小僧に悪戯をするので、鉄の鎖で柱につないだという。これが正法寺の文福茶釜である。
原典より
或る馬喰の献上になれるものなりと云ふ。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。