水抜き穴へ逃げ込んだ転がる火の玉
どんな伝承か
和江浦の魚売りの話と同じころ、長久村の隣の大田村のある男が、夜更けに遊び先から帰る途中、大田町の南の切り通しの国道で、火の玉がころころ転げ回っているのを見つけた。石を投げつけると火の玉は逃げ出したので、面白がって十四、五町も追いかけて行くと、川合村朝倉の豪家の前まで来て、塀の下の水抜き穴から屋敷の中へ潜り込んでしまったという。
原典より
大田町の南の切割りの國道に、火の玉がコロ/\轉げ廻って居るのを見たから石を投げつけると、火玉が逃げ出した。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。