喜連川の寺の占板が告げた無縁仏
どんな伝承か
明治四十五年八月二十四日、栃木県塩谷郡喜連川町の専念寺で、住職ら数人の立ち会いのもと占板を使った。町の衛生事務員小高が、今日の検査で病院へ下げられた娼妓はいるかと問うと、店の名と名と年まで挙げて三人と答え、後で聞くとすべて当たっていた。分署の大塚巡査に頼まれ、殺人事件の首謀者と共犯の数と凶器の隠し場所を問うと、熱田村の堰の下などと答え、これも後に本当だったとされる。さらに、四十二年前に病で死に地獄で苦しんでいる荷馬車引きと名乗る霊が救いを求めたので、立会人の花塚が調べると実在の人で、菩提寺東漸寺の過去帳でも供養する者のない無縁仏と分かったという。
原典より
明治四十五年八月廿四日、栃木県塩谷郡喜連川町の専念寺にて住持外数人の立会ひで占板が行使されたが、立会者の一人、同町衛生事務員の小高と云ふ人が質問をした。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。