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剣の淵の岩屋に髪で吊られた女

所在地三重県津市家城(剣の淵)
年代不明
登場体験者、伝承者
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

寛文年間、伊勢一志郡の川俣川にある剣の淵という難所で、人の行けない崖の中ほどの岩屋に人がぶら下がっているのを、対岸の家城の集落の者が見つけた。村人が筏を組んで近づき見上げると、三十歳ほどの女で、髪の先が漆で固めたように岩屋の天井に貼りつき、死人のようにぶら下がっていた。髪を途中で切って下ろし、村へ運んで手当てをすると息を吹き返したが、美濃の龍ヶ原村の庄屋の女房だと答えるだけで、ほかは何も語らなかった。領主の藤堂家から知らせが行き、龍ヶ原から迎えが来て連れ帰ったという。

原典より

村民は大に恐れ怪んで評定をしたが、とにかくこの儘には見過し難いさて、筏を組んで大勢それに乗り、淵へ近よつて彼の岩窟内を見上げると、三十歲計りの婦人で、頭髪の末端が岩窟の天井に膠着して體軀がブラリに吊下つて居り…—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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