分部山から川を下る無数の怪火
どんな伝承か
『諸国里人談』から引かれた怪火の話。伊勢国安濃津を流れる塔世川の上流、分部山から、小さな提灯ほどの火が五十も百も一面に現れ、縦横に飛び回る。やがて五、六尺ほどの一かたまりになり、水の流れよりも速く塔世川を下っていくという。また塔世の浦には「鬼の塩屋の火」と呼ばれる火があり、その火の中には老女の顔が浮かび上がるとされる。
原典より
伊勢国安濃津塔世の川上、分部山より小さき提燈ほどなる火、五十も百も一面に出て、縦横にとびめぐり、のち五、六尺ほどひとかたまりになりて、塔世の川をくだること水よりも早し。—— お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けは生きている――科学にとり残された霊の世界』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した、怪異と心霊をめぐる読み物である。読者から寄せられたお化けの報告や沖縄の刑場・遺念火の話、長崎の宅島夫人の霊視、和漢の古書に見える妖草妖木・狐・天狗・人魂などの物の怪、フォックス家事件やクルックスの実験など欧米の心霊研究を扱う。著者が始めた「お化けを守る会」の由来、西丸震也・星新一との座談会、透視や念力を試すテストを含む全七章に、あとがきを添える。