母の臨終に二度鳴った誰もいない呼び鈴
どんな伝承か
高槻に住む十四歳の少年が電話で語った体験。母は彼が五歳のときに亡くなった。その日、父は出かけていて家には彼ひとりだったが、玄関の呼び鈴が鳴り、出てみると誰もいない。家に戻ると再び激しく鳴り、やはり誰もいなかった。のちに、ちょうどその時刻に母が病院で息を引き取ったと知らされた。小学三年のときには母の夢を見たあと、茶の間に白くぼんやりした女の姿が座っているのを見た。布団をかぶっていると枕をなでる音がし、のぞくと母が身をかがめて枕をなでている。呼びかけると消え、その日は母の命日だったという。
原典より
ちょうど、アノ、ヨビリンの鳴った時に、死んだのです—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。