囲炉裏で焼け死んだ畳屋の父
どんな伝承か
享保三年、守山町の畳屋・太兵衛の父が囲炉裏で焼け死んだ。父は持病の癲癇を持っており、五日から七日ほど前から心が乱れていたので、家では人を付けて見ていた。それでも発作が再発したものか、囲炉裏にはまりこんだまま焼けて死んだ。『御用留帳』は狂気の事例を五十九例書きとめているが、その多くは、犯罪を起こしたか、指籠入れの願書が出されたか、こうして変事があったかで村役人の手をわずらわせたものである。持病の再発と心の乱れを結びつけて記している点に、当時の見方があらわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・1985年(昭和60年))
『疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情』は、精神科医の昼田源四郎が昭和六十年に著した、江戸時代の村の医療を描く本である。奥州守山領(現・福島県郡山市の一部)の『御用留帳』を主な史料に、村人の暮らし、医師と医道修行、疫病と祈禱、湯治、乱心と狐憑き、受刑者の治療、行倒れの継ぎ送り、間引きと養育手当などを、書き下した原文を引いて跡づける。序と凡例、全八章、あとがき、注、索引からなり、発行所はみすず書房である。