門前に弁当屋が来るユタの家
どんな伝承か
昭和六十年八月上旬、那覇市内のユタAさん(五〇代の女性、名は伏せる)宅は客でにぎわっていた。記者が朝九時ごろ訪ねると、客間にはすでに十人余の客が面接を待ち、それぞれ順番の数字を書いた紙片を持っていた。十一時ごろには二十人を越え、客間からあふれて玄関先や庭に立ったり座ったりしている。正午前には割烹着姿の弁当屋が現れ、抱えてきた弁当はたちまち売り切れた。午後三時、取材帰りに一人の客の順番札を見せてもらうと、そこには「52」と記されていた。Aさんは、外でのウグワンが多いので在宅日に客が集中するのだと語った。
原典より
正午前になると、割烹着姿の弁当屋があらわれ、はじめて見る活況に圧倒されている記者を、さらにおどろかした。—— ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社)
『ユタと霊界の不思議な話』は、月刊沖縄社が編んだ、沖縄の霊能者ユタについての取材記録である。那覇など都市地区の有名なユタへの取材をもとに、持ち込まれる相談、ユタになったいきさつ、マブイと霊界の考え方、十二支寺や拝所巡拝の意味を問答の形で記し、依頼者の体験談も添える。序章の体験談と四つの話に続いて、ユタを母に持った子の手記、霊示を書き取る人の話、有名霊能者百二十人の一覧、用語説明を収める。