長女の家を離れられない老女のマブイ
どんな伝承か
ヌジファ(死者のマブイの現世とのひっかかりを取り除き成仏させる祈願)の一例。豊見城村で長男夫婦と暮らしていたAさん(長男の実母)が、病気と老衰で那覇市内のB病院に入院した。近くに長女の嫁ぎ先があり、身内の看病に便利だというのが病院を選んだ理由だった。Aさんは七か月ほどで快方に向かい、通院のためとりあえず長女の家に退院したが、老衰が昂じて一か月後に死亡した。遺体はただちに長男の家へ運ばれ、翌日葬式をすませたが、Aさんの霊はヌジファを要求した。マブイが長女の家から離れきれないと判じに出たので、その要望に応じて祈願をしたという。
原典より
マブイが長女の家から離れきれないと判じに出てきたのです。—— ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社)
『ユタと霊界の不思議な話』は、月刊沖縄社が編んだ、沖縄の霊能者ユタについての取材記録である。那覇など都市地区の有名なユタへの取材をもとに、持ち込まれる相談、ユタになったいきさつ、マブイと霊界の考え方、十二支寺や拝所巡拝の意味を問答の形で記し、依頼者の体験談も添える。序章の体験談と四つの話に続いて、ユタを母に持った子の手記、霊示を書き取る人の話、有名霊能者百二十人の一覧、用語説明を収める。