七尾の猫を刻む秀林寺の猫塚
どんな伝承か
佐賀県白石町の泰盛山秀林寺の境内には、「猫大明神」と刻まれた石の小祠、いわゆる猫塚がある。牙をむいた怪猫の浮き彫りの尾は七本に分かれている。寺の由来書きによれば、鍋島猫騒動は寛永十七年ごろのことで、化け猫を仕留めた千布家にはなぜか男子が生まれず、代々他家から当主を迎えていた。七代目の久右ヱ門は、先祖の本右ヱ門に刺された化け猫が死に際に千布家に七代祟ると言い残したと伝わることから、その怨念ではないかと考え、七尾の白猫を描いた軸で猫の霊を手厚く弔った。以来毎年猫供養を行い、男子も育って家は安泰になったという。今の猫塚は明治四年に再建されたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。