人に聞こえずテープに残った鉦の音
どんな伝承か
亡くなったおすがおばさんの霊が鳴らすらしい鉦の音は、毎晩同じ時刻に同じ調子で続いた。家族を起こして一緒に聞かせても、聞こえる者と聞こえない者があり、語り手は自分だけの錯覚かと考えるようになった。ところが幾日か後、その仏壇のある部屋で心霊座談会が開かれ、徳川夢声、中河与一、小田秀人、橋本健らが集まった。速記のために回していたテープレコーダーを後で調べると、あの鉦の音がぼんやり入っていた。人には聞こえず、テープにだけ残っていたのである。盆の中日には、おばさんは婿の口を借りて残された夫を託した。
原典より
時刻も音の調子も寸分変らない。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異