髪ののびる人形に憑いた七歳の霊
どんな伝承か
持ち込まれた人形は、以前より髪が肩まで伸びていた。番組の収録に出すと、リハーサル中にそのスタジオだけが停電してセットが倒れ、本番では背後の黒幕が落ちて人形ががくりと動いた。放送後、関係者に事故が続く。別の局が同じ企画を組むと、人形を彫ったはずの仏師は作った覚えがないと言い張り、取材の最中にディレクターの妻が原因不明の病で顔を腫らし、カメラは次々に故障した。布に包んだまま霊視した霊媒師は、赤坂の料亭にいた七歳の少女の霊がもっとも強いと告げ、空襲で右手と右足を失っていると言い当てた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。