谷に落とされた三十六人のおいらん
どんな伝承か
奥多摩の渓谷には武田信玄の金鉱があったが、家康が攻め寄せたため鉱山を埋めた。そのとき、採鉱夫の慰安に連れてきていた遊女の始末に困り、酒盛りをしていた三十六人を谷へ落として殺したと、道路の掲示板に書かれている。車で通ると道の両脇に三十六人の遊女がずらりと並んで出るという。昭和六十年三月、友人四人で夜に出かけたが遊女は現れなかった。ただ三人は寒気がして頭が痛くなり、何ともなかった一人は二日後にバイクで事故を起こして怪我をした。遊女のせいだと言われている。
原典より
自分の所から二十里ほどの後藤野の話。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。