運転席に座るなと告げた中古車の声
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どんな伝承か
著者の父は青森市のあるハイヤー会社の運転手をしていた。その父から聞いた話である。昭和三十三年のこと、若い女が車を運転していて崖から落ちて死んだ。その車が修理され、中古車として売り出された。大変安かったので一人の男が買おうとして運転席へ座ってみると、後ろの方から若い女の声で「そこはわたしの席ですから、すわらないでください、ハンドルに手をつけないでください」といわれた。ぎょっとして後を振り向いても車の中には誰もいない。これはこの車の死んだ持ち主の幽霊にちがいないと、恐ろしさに背中へびっしょり汗をかいて急いで外へ出た。その車はとうとう誰も買う人がいなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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