沖から迎えに来た笛太鼓の舟
どんな伝承か
昔(明治の中頃)、高知県土佐清水市で、子供が椎の実を採りに行き、高い椎の木から落ちて気を失った。医者よ薬よと騒いだが、三日目に正気に戻った。子供の話では、家の前の浜へ沖からきれいな幟を立てた舟が笛や太鼓を鳴らして現れ、『迎えに来た、乗れ』としきりに勧めた。音楽や美しい舟に惹かれて片足をかけたところ、祖母と母がどこからか飛び出て来て、手足を痛いほど引っ張り『乗ってはいかん』と必死に止めた。そこで気がついたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。