汽車でバナナを食べたと語った疎開児
どんな伝承か
古志郡山古志村に疎開してきた小学五年生の子供の話。兵平衛という家へ疎開して来たが、顔色が悪く元気のなさそうな子であった。やがて寝つき、そして死んだ。座敷に入れて戸をきちんと閉め、茶の間で親類が集まって葬式の相談をしていると、座敷でゴトゴトと音がした。皆が怖がる中、あるお婆さんが「それじゃ、おれが開けてみよう」と戸を開けると、子は生き返って動いていた。「汽車の中でバナナがいっぱいあって、それをもらって食べた」と言ったという。その子はそれから一か月ほど生き、とうとうまた死んで、種苧原で葬式を出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。