遠足の帰りに行く手を塞いだカラス
どんな伝承か
昭和十年ごろ、小学校四年のときに東村山貯水池へ遠足に行った。その帰り道でカラスの群れに出くわし、行く先々でガアガアと異様な声を上げながら次々に待ち伏せされ、行く手をふさがれる形になった。とうとう道に迷って一行とはぐれ、ずいぶん遅れて駅にたどり着くと、心配した先生がひとりで待っていてくれた。その朝、弟が急に体の不調を訴えていたのだが、家に帰ると弟は死んでいた。日赤の隔離病舎で疫痢のため五歳で亡くなったのだという。カラスに囲まれたのと同じ時刻に息を引き取っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。