軍手から漂う線香の匂い
どんな伝承か
昭和五十六年十月一日、報告者が工場で軍手をはめて機械の段取りを始めると、その軍手から線香の匂いが鼻をついた。いやな感じがすると思いながら仕事を続けていると、まもなく家から電話があり、隣のおばあさんが亡くなったと知らされた。長く病んでいたが、気さくなよいおばあさんだった。報告者はそれからしばらく、軍手が怖くてたまらなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。