雨の夕暮れに東禅寺へ来た蓑笠の人
どんな伝承か
御杖村の東禅寺の、今は亡くなった住職の体験である。ひどい雨の降る日の夕方六時ごろ、住職が鐘をつきに出ると、下から蓑と笠を着けた人が上ってきた。この雨の中よく来たなと声をかけても、その人は一言も答えない。とにかく上がれと言って寺へ招き入れた。そのすぐあと、その人の家の者がやって来て、家の者が亡くなったので弔いをお願いしたいと告げたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。