荒神様の轟音と次男の戦死
どんな伝承か
三人の息子がみな戦争にとられた母は、戦地で腹をすかせてはいないかと三度の食事を陰膳にし、無事の帰還を願って近くの荒神様へ毎朝暗いうちから裸足参りをしていた。ある日、いつものように暗いうちに社殿のまわりを拝んで回っていると、突然ドカーンという大きな音がした。息子に何事か起こったのではと祈って帰った。しばらくして二番目の息子操の戦死公報が入り、その戦死の日が荒神様で大きな音がした日と同じだった。もう一人の息子荘一も戦死し、満州で死んだ弟の折には屋根の棟にカラスが来て鳴いて知らせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。